研究課題/領域番号 |
06451161
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研究機関 | 国立国語研究所 |
研究代表者 |
鮎澤 孝子 国立国語研究所, 言語教育研究部, 部長 (70167972)
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研究分担者 |
長友 和彦 お茶の水女子大学, 人文科学研究科, 教授 (60164448)
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キーワード | 東京語アクセント / 縦断的調査 / 外国人学習者 / 音声インプット / 韻律教育 / 習得 / 生成能力 / 知覚能力 |
研究概要 |
本研究の目的は、縦断的調査の結果に基づき、外国人学習者の日本語韻律特徴(アクセント、イントネーション等)習得の過程を明かにすることである。本研究では東京(さまざまな国からの留学生)、京都(アメリカ人学生)、韓国(ソウルの大学生)の日本語学習者を対象に韻律の知覚、生成についての1年間の縦断的データ(東京ではそれぞれ1年間を2回)を収集し、その分析を行った。 その結果、以下のような興味深い知見が得られた。 (1)東京、ソウルの学習者については授業での韻律教育なしでも、東京語アクセントの知覚能力の進歩が見られたが、京都の学習者の場合は顕著な変化は見られなかった。ホームステイによる京都方言のインプットが東京語アクセントの聞き取りに関してはマイナス要因として働いた可能性がある。ソウルの学習者の場合は民間の機関で日本人教師による会話教育を受けている場合が多く、日本語ネイティブの音声インプットがある。なお、東京、ソウルの学習者は日本語専攻であるが、京都の学習者はそうではなく、学習の動機の面で差があるとも考えられる。 (2)短い1語発話の場合や頭高型アクセントの発話のピッチ変化を聞き取る力は、韻律教育なしでも伸びている。 (3)東京の学習者で韻律教育を受けたグループは、受けなかったグループに比べ、複雑なアクセント句のピッチ変化を聞き取る能力が伸びている。 (4)同一の学習者の知覚能力と生成能力について調べると、知覚と生成では異なる学習ストラテジーを用いているらしいことがわかった。 このような結果から、韻律教育においては、音声のインプット、韻律教育が重要なこと、韻律教育は知覚、生成両面で行う必要があることがわかる。 今後、ソウル、京都の学習者に韻律教育を行った場合に知覚、生成能力がどのように変化するかについて縦断的調査を実施したいと考えている。
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