国民の意識(心情、価値観など)の変遷を統計調査的な方法で捉えることは日本社会の動向を知る上で極めて重要である。われわれは、日本人のものの見方や考え方が、社会的属性によってどう違うか、過去40年の間にどう変わって来たかを、計量的方法に基づいて分析し、日本人の意識の特徴を明らかにするために、昭和28年から5年ごとに全国調査を繰り返し、平成5年秋には第9次全国調査を実施した。これまでの継続調査から、現在は、近代化を終え、伝統回帰をも超えたさらに新たな次元の意識状況に在るが、その詳細は解明されておらず、その解明がまたれている。 この調査研究の目的は、将来の意識動向をより精細に把えるための新しい質問を開発することである。 このため、今年度は以下の作業を行なった。 (1)これまでの問題意識を洗いなおすために、昨年度、第1〜9次の「日本人の国民性調査」に共通な全ての調査項目についての共通ファイル作成をめざした。しかし、コンピューターが未発達であった昭和20〜30年代の「日本人の国民性調査」のいくつかの項目はコード化されていなかったり、途中で回答肢が不統一になっていたりしていたため、全項目のファイルは出来なかった。そこで、今年度は、現在の個票データと手集計カードとを照合し、データファイルの改訂を行った。また、コーディングに不統一な点があった自由回答項目については、その回答そのものを、9回の全調査にわたって、入力したが、コーディング作業までは完了できなかった。 (2)昨年度実施したオムニバス調査のファイルを作成し、概略的な分析を行った。 ただし、一部の自由回答質問の結果は、上記と同様、回答そのものを入力しただけで、コーディングは完了していない。
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