研究概要 |
昨年度までに作成した『源氏物語』54巻のデータベース376,232語と、『源氏物語』関連文献の『山路の露』、『雲隠六帖』、『手枕』のデータベースに加え、今年度に作成した『紫式部日記』のデータベースを用いて、『源氏物語』54巻の成立や著者に関する疑問を解決するため、『源氏物語』の文章を統計的観点から分析した。 この分析を通じて、『源氏物語』の各巻の文章の特徴を計量的な観点から明かにし、古来から他作家説のある『源氏物語』の後半の10巻の文章が、品詞の使用率、言葉の使用率等の多くの点で前半の44巻と異なること、また会話文と地の文では、助動詞の用い方に明らかな差があることなど、新しい知見を得た。また助詞の使用率の変化から、『源氏物語』の執筆開始時期の推定も試みた。 なお、本年度に作成した『紫式部日記』のデータベースを用いて、『紫式部日記語彙用例総索引』(564ページ)を作成し、科研費研究成果公開促進費の援助を受け勉誠社より出版した。
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