テレビ通信システムのユーザインタフェイスの設計基準を、認知人間工学の立場から明らかとするために、テレビ通信システムシミュレータを用いて、人間のコミニケーション時の認知行動を解析している。 平成7年度は、平成6年度の予備実験を踏まえて、2者間、及び3者間テレビ通信システム実験を行った。 特に今年度は、実務使用を想定して、相談型タスクの場合について、会話局面と画面注視状況との関係を、重点的に検討した。 その結果、以下の点が明らかとなった。 ○一般に、相手方の顔画面の注視率は低く、作業画面の注視率が高い。 ○自分の意思を表明する場合や、相手の意思を確認する場合に、相手方顔画面を注視する傾向がみられる。 ○3者間会議において、そのうちの2者がテレビ通信システムを用いない、通常の顔を突き合わせての会議条件になり、残り1者のみがテレビ通信システムを用いて会議参加する場合、テレビ通信システムを用いない2者間で会話が進行する傾向が強い。ただし、画面サイズ等のインタフェイス条件がよい場合には、残り1者も、発話数は増加し、会議参加が促されている。 これらの結果をもとにすると、テレビ通信システムでは、言外の情報伝達に、相手方の顔提示が必要となり、その言外情報伝達が、会議への参加を促すといえ、インタフェイス条件の良否が、コミュニケーション性に大きな影響を与えることが分かった。 平成8年度は、これら平成7年度までの成果を取りまとめ、公表する予定である。
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