1 SPS2000システムを構成する各レクテナの運用は、それぞれの地方コミュニティに対し社会経済的な影響を及ぼすので、詳細に調査する必要がある。レクテナのユーザーにとって、受電可能なエネルギーの量が重要なので、レクテナ運用のシミュレーションを行うためその社会経済モデルについて、使用し易いコンピュータープログラムをC言語で作成した。各レクテナの受電可能なエネルギー量は、かなりのパラメーターに依存しているのであるが、受電エネルギー量を正確に計算することができた。 レクテナの出力とユーザーらの間の蓄電システムも、このシミュレーション・モデルに含められており、現在適当な蓄電システムを調査している。衛星からのマイクロ波ビームの密度が正確に決定されれば、それに応じて、レクテナのパラメータについてもより正確に計算することになる。 2 SPS2000システムが実現すれば、赤道の様々な場所で宇宙からのマイクロ波エネルギーを受電するレクテナが設置されよう。このレクテナの需要は、世界最初の「マイクロ波エネルギー市場」と言える。その市場について様々な計算をして、参入を希望する民間衛星メーカーが、レクテナにエネルギーを売却できる条件を調査した。 この社会経済モデルに基づいて、レクテナの面積拡大と設置数の増加及び民間衛星からのマイクロ波エネルギー供給の経済性を調査することができるようになった。この市場の成長の可能性はSPS2000以後のレクテナの設置・運用経費に依存するので、発展途上国の土地と労働費用の方が安価なことから、それらの国の方が宇宙からのマイクロ波エネルギー需要は、先進国より早く成長すると考えられる。
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