研究分担者 |
宇澤 達 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40232813)
斎藤 和之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60004397)
板東 重稔 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40165064)
西川 青季 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60004488)
森田 康夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20011653)
|
研究概要 |
多様体上で定義された対称性を持つ電磁場のもとでの古典力学及び量子力学の幾何学的研究,及び量子エルゴード性の理論的研究を取り扱った.電磁場の研究では,コンパクトな商空間を持つ非コンパクト・リーマン多様体上の関数に作用するラプラシアンあるいはシュレディンガー作用素のスペクトル問題に対するこれまでの研究成果を踏まえ,微分幾何学的視点のみならず,作用素環論や,エルゴード力学系的立場から連続モデル及び離散モデルの両者を研究した.磁場の離散モデルでは,2次元格子の古典的Harper作用素の一般化がグラフ上で定式化され,その構造が研究の対象となる.従来の研究では,結晶中の粒子の運動を量子論的に記述する周期的シュレジンガー作用素のスペクトル問題を幾何学的に一般化したものを扱っていたが,これをさらに不変な磁場の存在する場合に拡張した.群が推移的に作用する場合と,離散群の不連続作用の場合を特に詳しく研究した.この様な設定のもとで,連続モデル,離散モデルの両方で,無限次元ユニタリ表現の構造と,磁場から定まる2-cocycleに付随するC*群環の構造が,作用素のスペクトルの解析的諸性質にどの様に反映するかを研究することが課題となる.古典力学の場合には,負定曲率曲面上の一様な磁場のもとでの粒子の運動を,不安定力学系の観点から調べ,力学系の群論的記述を行った.量子エルゴード理論の研究は現在進行中であるが,これまでに,測地流のエルゴード性と,対応する量子力学系のエルゴード性の直接的関係を見いだしている.
|