研究課題/領域番号 |
06452014
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
楠岡 成雄 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (00114463)
|
研究分担者 |
堤 誉志雄 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教授 (10180027)
長田 博文 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教授 (20177207)
片岡 清臣 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教授 (60107688)
松本 幸夫 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (20011637)
俣野 博 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (40126165)
|
キーワード | 無限次元空間 / 対称性 / 複素ウィナー空間 / スケルトン / 正則関数 / ドルボーコホモロジー |
研究概要 |
本研究は無限次元空間上の微分作用素で、特に対称性を持つものに付いての研究が課題であった。幾何学的な立場、擬微分作用素論的立場からの研究も大きな目標であったが、この方面では余り進展がみられなかった。進展があった主なものは複素ウィナー空間の正則関数の確率解析の立場からの研究である。複素ウィナー空間上の正則関数の研究はこれまでも色々な研究があったが、それらのほとんどは全域で定義された正則関数を取り扱っていた。しかし、それでは正則性が本来局所的な性質であることの意味が十分理解でない。また、本研究の主眼の一つである、ウィナー多様体上の解析に問題を広げていく上にも概念の局所化が必要である。正則性の概念の局所化そのものは本研究代表者による結果が既にある。しかしもう一つの問題である、スケルトンの概念の局所化の問題は全くできていなかった。正則関数のスケルトンとは、与えられた正則関数に対応する、ウィナー構造になかった。正則関数のスケルトンとは、与えられた正則関数に対応する、ウィナー構造に付随したヒルベルト空間の上の正則関数のことをいう。このような関数の存在は一般に信じられているが、ウィナー空間上の正則関数は必ずしも連続ではないので、このような関数の存在を示すことは全く自明ではない。全域で定義されている正則関数に対しては九州大学の杉田氏によりスケルトンの存在と性質が調べられていたが、部分領域で定義されている正則関数については何も結果がなかった。今回の研究では、部分領域が十分性質のよい関数の正領域として与えられている場合という、まだ十分一般的でない時においてではあるが、スケルトンの存在及び正則関数とスケルトンの対応がとその対応が1対1であることが示された。これと従来の結果を組み合わせると、この部分領域上のドルボーコホモロジーとスケルトンの作る層のコホモロジーとが一致していることが示される。この結果は無限次元空間上の複素解析において重要な役割を果たすと考えられる。
|