研究課題
基盤研究(B)
6年度〜7年度(9月)の代表者の舟木は、まず格子上のHamilton系および格子気体モデルに対して統計力学における基本的な問題である流体力学極限を考察し、次いでランダムなノイズの加わった反応拡散方程式に対して反応項が大きくなるという特異摂動の問題を考え、方程式の解は時空の各点ごとに+1、-1に近づく。従って、二つの相+1、-1を分離するランダムな境面(界面)が現れることを示した。さらに、非線形波動を記述するBurgers方程式に対して初期値がランダムな場合について、種々の極限問題を取り扱った。また、Burgers方程式の拡散項のラプラシアンをそれの分数ベキで置き換えたとき、そのベキ数の解への影響について詳しく調べた。市原は、色々な分野で重要な応用のある差分作用素に対し、大局的なHarnack不等式を証明し、そのポテンシャル論への一つの応用をしめした。また、数理物理などにおいて大変重要なランダム媒質の中の確率過程に関して、時間とともに変動するランダム媒質を導入し、それの下で運動する時間的非定常な出生死滅過程を定義し、このマルコフ過程の再帰性問題を、くりこみ理論の立場から論じた。特に、多次元格子上で再帰的及び非再帰的な例をそれぞれ構成した。尾畑は、ホワイト・ノイズ超関数と量子確率過程論に関して種々の研究を行った。熊谷は、フラクタル上の拡散過程の種々の特徴付け及びその拡散過程の熱核について長時間評価、短時間評価等を与えた。その他の分担者も、それぞれ担当の分野で興味ある成果をおげた。
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