研究課題/領域番号 |
06452020
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水野 亮 名古屋大学, 理学部, 助手 (80212231)
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研究分担者 |
福井 康雄 名古屋大学, 理学部, 教授 (30135298)
土橋 一仁 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (20237176)
小川 英夫 名古屋大学, 理学部, 助教授 (20022717)
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キーワード | 星形成 / 分子雲コア / プロトステラーコンデンセーション |
研究概要 |
本研究は、太陽系に最も近い星形成領域の一つであるおうし座分子雲に対して、名古屋大学4メートル電波望遠鏡で取得した^<13>CO,C^<18>O (J=1-0)スペクトルの掃天観測データをもとに、原始星前段階にある分子ガス塊(プロトステラーコンデンセーション=星の卵)の系統的な探査を行ない、その物理状態を統計的に明らかにすることを目的とした。 観測はおうし座領域の約70%の広範囲を一様にカバーした。その結果、密度が10^5-10^6cm^<-3>と高く、大きさが0.1pc程度の非常にコンパクトで高密度なガス塊を計30個検出した。これらのガス塊の典型的質量は太陽の3倍程度であり、今後星が形成される可能性が極めて高い、星形成の直接結び付くガス塊(プロトステラーコンデンセーション)と考えられる。 本研究により、プロトステラーコンデンセーションの偏りのないサンプルが取得でき、進化のタイムスケールを初めて統計的・観測的に推定することが可能となった。プロトステラーコンデンセーションの個数は原始星段階にある分子雲コアの数の数倍(3倍程度)であり、このことから、プロトステラーコンデンセーション内でガスが凝縮し、中心で原始星が形成されるまでのタイムスケールは、原始星段階のコアの寿命から、約数十万年程度であると考えられる。また、それまでのC^<18>O観測をもとに、密度が10^4cm^<-3>程度の密度の分子ガス塊(C^<18>Oコア)とプロトステラーコンデンセーションおよび原始星以降の若い星の分布を比較した。その結果、若い天体の数はC^<18>Oコアの質量にほぼ比例し若し天体1個あたりに付随するガスの質量は10太陽質量程度であることが明らかになった。これは10^4cm^<-3>程度のガスが10太陽質量程度あれば、1つの星形成領域を形成することができることを初めて観測的に示唆した結果である。 以上のような結果を得て、研究は初期の目的を十分に達成し終了した。
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