1 遠赤外線放射の強い銀河(IRAS銀河)の系統的な探査と視線速度測定を天の川領域のうちの銀経0°から150°までの領域で行った結果を発表した(Nakanishi et al.1997)。この研究では、特にLocal Voidについて調べ、この大規模構造の位置と大きさをはじめて明らかにした。 2 天の川領域では星間塵による強い吸収のために銀河が全く見えない所がある。このような領域での銀河探査を近赤外線での撮像観測によって行った。58個の遠赤外線源のうち16個は銀河であることを見いだしたが、26個は光でも近赤外線でもCO分子線でも'見えない'天体であることがわかった(Iwata et al.1997)。 3 我々のこれまでのIRAS銀河の研究によって、天の川領域での近傍宇宙の大規模構造はほぼ明らかになった(Takata et al.1996)。しかし、銀河中心方向では、強い星間吸収と高い星数密度のために、これまでに検出できた銀河の数は少なく、銀河分布の大規模構造を確定することはできない。我々は本科研費で入手した特殊顕微鏡を使って、この領域の広視野写真上で銀河探査を行った。銀経8°から43°の約800平方度について約5300個の銀河(候補)を検出し、その分布の特徴をまとめた(Roman et al.1996)。さらに探査領域を銀河中心に向かって広げ、約7000個の銀河(候補)を検出した。これら約12000個の天体の位置等のデータはカタログとして本科研費により出版する(電子データとしては、国内外のすべての研究者に公開する)。現在、検出した天体の視線速度測定を行いつつあり、大規模構造の確定は今後の研究を待たねばならない。
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