研究課題/領域番号 |
06452027
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山田 作衛 東京大学, 原子核研究所, 教授 (70011658)
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研究分担者 |
久世 正弘 東京大学, 原子核研究所, 助手 (00225153)
徳宿 克夫 東京大学, 原子核研究所, 助手 (80207547)
石井 孝信 東京大学, 原子核研究所, 助手 (90134650)
浜津 良輔 東京都立大学, 理学部, 助教授 (20087092)
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キーワード | 電子・陽子衝突 / 光子構造 / HERA / ZEUS / ベクトル中間子 / 分解光子反応 / 光子構造関数 |
研究概要 |
今年度はHERAが約13pb^<-1>の総ルミノシティーを供給し、汎用測定器ZEUSによって約8pb^<-1>の陽電子・陽子散乱のデータを取得した。その現象再構成作業を進める一方、昨年度得られた3pb^<-1>のデータの解析を行った。その結果、研究目的として挙げたそれぞれのテーマに対して以下のような成果を得た。 (1)光子の回折分解の研究:ρ^0、φ、J/Ψの各ベクトル中間子を崩壊粒子の検出によって同定し、散乱電子側から求めたQ^2の大きさにごとに、光子-陽子系のエネルギー(40-140)GeVの範囲で生成断面積を測定した。軽い中間子に対しては光生成反応のエネルギー依存性は少なく、重い中間子の場合とQ^2が有限の領域では、断面積がエネルギーとともに増大することを明らかにした。 (2)光子-グル-オン融合反応によるジェット対発生の研究:光子-陽子系エネルギー(130-270)GeVの範囲でハードな2ジェット現象を選び出し、光子のファインマン変数から、直接反応と光子分解反応を選別した。直接反応を用いて陽子中のグル-オン分布、また、光子分解反応から光子の構造関数を測定した。これまで提唱されている模型の計算と比べて断面積が1.5ないし2倍大きいことが分かった。違いの詳細を調べ、2ジェットが共に前方に出ている時に差が大きいこと等が判明し、単に構造関数を変えても再現できないことも分かった。さらに詳しい量子色力学の理論的考察を要することを明らかにした。 (3)分解光子反応による光子構造関数の測定:運動学的に分解光子反応を選び出した上で、電子方向に光子の破片とも言えるジェットが出ている反応を初めて識別し、光子ジェットの性質を他のジェットと比較した。個々の粒子の運動量分布はほぼ同じことが確かめられたが、光子ジェット全体の持つ平均の横向き運動量は予想値より大きく(2.1+0.2)GeVであった。これは光子構造に関する新しい情報である。
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