研究課題/領域番号 |
06452029
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
堀川 直顕 名古屋大学, 理学部, 助教授 (70022697)
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研究分担者 |
斉藤 栄 名古屋大学, 理学部, 助教授 (40022694)
長谷川 武夫 宮崎大学, 工学部, 教授 (70025386)
森 邦和 名古屋大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70022663)
岩田 高広 名古屋大学, 理学部, 助手 (70211761)
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キーワード | 核子スピン / クォークスピン / スピン偏極標的 / 深部非弾性散乱 / 熱平衡信号 / NMR検出器 / 重陽子標的 |
研究概要 |
核子のスピン構造の研究は、核子のクォーク・グル-オンの役割を調べ、それらの運動を記述する量子色力学(QCD)を検証する有力な方法である。この研究のためには、スピン偏極した深部非弾性散乱の実験が本質的に重要で、そのためにはスピン偏極標的の開発が不可欠である。私たちは本科学研究費補助金の支持を得て、以下の研究を行った。 1.スピン非対称度(A_2)を測定するために標的スピン方向をビーム軸と垂直にする方法として、双極磁場をビーム軸に垂直にかけることにより、磁場をビーム軸から90度回転させ、スピンがこの回転に追随するとき何%ほど偏極度を失うかを測ってみた。その結果、1回のスピン反転で偏極度は元の値の1%程が失われる程度で深部非弾性散乱実験にはほとんど影響しないことを確認し、数回の反転で数%で失ったら、改めてマイクロ波で偏極励起し、もとの高い偏極度を得る方法を確立した。 2.小さな偏極試料の偏極度を測定するための信頼性のあるQ-メータ式NMRの検出装置を整備した。偏極度測定においては、試料を磁場2.5T、温度1K辺りで熱平衡状態の信号検出をしなければならない。この作業は重陽子標的では極めて困難で信号と雑音の区別をするため10,000回ほど周波数掃引して平均化して信号をとりだす。私たちは信頼性のあるNMR測定器系を整備して、ほぼ1cm^3の試料に対して、図1に示すような熱平衡信号と偏極励起信号を得ることに成功した。この装置でさらに小さな試料の信号検出を試みる予定である。 3.SMC実験では陽子に対するA^2非対称度を測定しxの4点で値を得た。この測定は陽子に対するg^p_1の測定時間を一部を割いて行ったもので、データ点・統計ともに十分とは言えないが、ツイストー3の効果を見ることは可能で、領域1_iQ^2_i30GeV^2ではその影響は見られない事が解った。図2を参照。
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