研究概要 |
核子当り40〜70MeVの入射エネルギーでの(^7Li,^7Be-γ)荷電変換反応で、原子核のアイソベクトル巨大共鳴について調べることを研究目的とした。これまでの巨大共鳴の研究においてEl巨大共鳴(電気的;△S=0)とGamow-Teller巨大共鳴(磁気的;△S=1)を除いて詳しい実験的情報はほとんど得られていなかった。この主な原因として用いた核反応におけるスピン(S)の選択則が特定できないことや連続スペクトルと区別した測定ができないことにあった。 (^7Li,^7Be)反応では^7Beとそのγ線を同時計数することで実験的に△S=0と△S=1の励起を区別して求めることができる。この方法で測定された。同じ運動学的条件下での△S=0と△S=1のスペクトルを比較して連続スペクトルを実験的に決定し、電気的共鳴と磁気的共鳴を特定できる。△S=0と△S=1のスペクトルから原子核のスピン-アイソスピン応答について研究できる。 実験は全国共同利用研究施設である大阪大学・核物理研究センターで行われた。入射エネルギー65AMeVで測定された。^7Beとそのγ線を同時計数のために徳島大学総合科学部で開発されたγ線検出器システム"NYMPHS"の性能や65AMeVでの(^7Li,^7Be)反応機構について調べ、巨大共鳴の研究に優れた特性を持つことが明らかにできた。現在いくつかの原子核での測定が終了し、原子核のスピン-アイソスピン応答の測定結果が解析中である。 測定データは科学研究費補助金で整備された計算機ワークステーションで処理され、大量の測定データの解析システムが完成できた。このシステムの整備により地方大学を核とした巨大科学研究を効率よく遂行できるようになった。
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