研究課題/領域番号 |
06452036
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
坂田 通徳 甲南大学, 理学部, 教授 (60068111)
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研究分担者 |
梶野 文義 甲南大学, 理学部, 助教授 (50204392)
山本 嘉昭 甲南大学, 理学部, 教授 (70068112)
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キーワード | ガンマ線天文学 / ガンマ線バースト / 水チェレンコフ検出器 / 空気シャワー / 高エネルギー宇宙物理 / 宇宙線 |
研究概要 |
乗鞍岳宇宙線観測所の水槽(約3×7m^2、深さ3m)を黒シートにより暗室化し権現地からの水を満たし、水底に6個の8インチPMT2個を1組として、各組を直線上に2.0m間隔で水底に設置し、空気シャワーによる水チェレンコフ光を検出した。水底PMTには集光鏡を取り付けた。また空気シャワー観測用検出器6台(6-アレイ)との連動も行った。観測期間は約1ケ月であった。これによりPMTの耐水性と暗室のテストに成功した。また、水は清澄に見えたが、実験終盤にPMTと集光鏡の表面に沈降泥の薄膜が形成されていることを発見し、水質向上の重要性が判った。PMTの設置深度は1.5m-2mが適当である事をトリガー頻度により確かめた。トリガー頻度は、深度1.5mのもとで4m離れている両端の2組(4ケ)の水底PMT各々に「1光電子以上の同期信号」という条件とした場合40Hzであった。水底PMTによる総光電子数と6-アレイにより検出されるシャワー粒子数との比例的相関は6-アレイに合計5粒子以上検出されような比較的大きい空気シャワーの場合に明瞭に確認された。70%のトリガーは6-アレイに1粒子も検出されない空気シャワーであった。 上記の装置をモデルとするシミュレーション計算によると、トリガー頻度は約400Hzとなった。モデルはPMT表面の沈殿泥の薄膜等々の感度劣化要因を取り入れていないものであるため、この結果は実験値の40Hzが空気シャワーによるものである事と矛盾しない。一方、計算では50GeV-100GeVの空気シャワーによるトリガーの寄与が無視できないという驚くべき結果を与えた。これに平行して、チベット4300m高度でのモデル計算も進めた結果、200GeV以下では宇宙線陽子に比べγ線のトリガー効率が約10倍良い事等が判ってきた。
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