研究概要 |
本研究の成果は、以下の3つに要約できる。 1.吸着原子層の被覆率の決定 我々は以前からSi(111)√x√3-Ag,Si(111)√3x√3-Bi及びSi(111)√x√3-Auといった系によるX線の散乱強度(CTR散乱と呼ばれている)を測定することによって表面の構造を研究してきた。今回これまでのデータを絶対反射率の観点から解析した。その結果、この手法で表面に吸着した金属原子の被覆率が決められることがわかった。特にSi(111)√3x√3-Bi表面の場合は、被覆率1/3の相と被覆率1の相を明確に区別することにより、この系の構造を曖昧さなく決めることができた。このような結果は、スケールパラメータに依存しない絶対反射率を基準にしたデータのフィッテイングによって初めて得られるものである。 2.Si(111)√3x√3-Sb表面の構造の決定 Si(111)√3x√3-Sb表面の構造はある程度わかっているが、若干の曖昧さが残っている。今回、絶対反射率と透過型X線回折の手法を組み合わせた測定によってこの表面の構造を曖昧さなく決定し、かつてから唱えられているいわゆるMilk-Stool構造の正しさを検証した。 3.Si(001)2X1表面の構造の決定 Si(001)表面では非対称なダイマー構造が出現して2X1の超構造が形成される、と考えられている。今回、X線の回折強度を特に超構造に起因する分数次の逆格子ロッドに沿って綿密に測定した。そしてその結果を解析することによって、表面におけるSi原子の変位を1/100A単位で正確に決定した。
|