研究概要 |
本年度は,研究計画調書に記してある通り,CePの磁場下・圧力下における中性子弾性散乱および非弾性散乱の研究を行い,以下のような大きな成果をあげることができた: 1.磁場下中性子散乱 これまでの我々のCePに対する中性子散乱による研究の結果,磁場下で極めて特異な磁気構造が見いだされ、我々は,これを磁気ポーラロン格子の生成によるものと提唱してきたが,本年度さらに詳しい磁場下での研究を行った結果,これまで一部不明であった高磁場領域における磁気構造を決定し,またこれらの磁気構造の温度変化を明らかにすることができた.いずれの実験結果も,CePの磁場下における磁気ポーラロンモデルを強く支持するものであった. 2.圧力下の中性子散乱 本年度,初めて単結晶を用いた圧力下の中性子散乱の実験を行った結果,磁場下と同様の磁気構造が圧力下においても生じていること,またこれの周期が圧力とともに段階的に変化していることを見いだした.このことは,圧力下においても磁気ポーラロン格子が生成していることを示しており,p-fミクシングが磁気ポーラロンを安定化させているという我々のモデルを強く支持している. 3.中性子非弾性散乱の精密測定 これまでの研究により,圧力下でCePの励起スペクトルに,磁気ポーラロンからの寄与と思われるピークの存在が見いだされていたが,本年度,常圧下において精密な中性子非弾性散乱の研級を行った結果,圧力下と同様の異常が,励起スペクトルに見られた.この結果は,常圧下(ゼロ磁場下)においても,磁気ポーラロン状態が存在していることを示唆している.
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