研究概要 |
これまでの我々の中性子散乱による研究の結果,CePにおいて,磁場下および圧力下において極めて特異な磁気構造が発見され,我々は,これを少数キャリアー系に本質的な現象,即ち,磁気ポーラロン格子の生成によるものと提唱してきた.本年度は,研究計画調書に記してある研究計画のうち,時間の都合上,圧力下のCePの磁気相図を作り上げることを主眼とし,圧力下における中性子散乱の研究を集中的に行った.その結果,CePの特異な磁気構造の周期が,低温において,圧力の増加とともに極めて系統的に減少することが見いだされた.即ち,圧力下においては,磁場下と同様に,約2μ_Bの磁気モーメントを持つCeの2重層が,あいだに0.7μ_Bの磁気モーメントを持ったCeの層を挟み,周期的に配列しているが,圧力とともにこの周期が,Ce層1層ずつ段階的に減少し,ついにCeSbと同様なCe面の2枚周期の半強磁性構造に至ることを見いだした.この実験結果は,圧力下においても,磁場下と同様の磁気ポーラロン格子が生成しいることを明らかに示しており,且つ,その周期が圧力に対して規則的・段階的に変化していることは,p-fミクシングが磁気ポーラロンを安定化させているという我々のモデルをより強く支持している.さらに上の実験事実は,CePおよびCeSbを含め,Ceモノプニクタイトにおいて見られる異常磁性が,基本的に同一のメカニズムによることも明らかにしている.
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