研究課題/領域番号 |
06452053
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加倉井 和久 東京大学, 物性研究所, 助教授 (00204339)
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研究分担者 |
西 正和 東京大学, 物性研究所, 助手 (90156034)
門脇 広明 東京大学, 物性研究所, 助手 (70194876)
遠藤 康夫 東北大学, 理学部, 教授 (00013483)
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キーワード | 中性子非弾性散乱 / スピンエコー分光法 / 相転移 / ダイナミックス / 集団励起 |
研究概要 |
今年度は主に前年度に開発された三軸分光器用熱中性子スピンエコー・オプションを使用した相転移のダイナミックスに関する本格的な実験を行った。系はKDCO_3,SrTiO_3及びCrであった。前者の二つの系は構造相転移を、後者は磁気相転移を起こす物質である。 KDCO_3の実験では秩序-無秩序の構造相転移近傍の歪みの動的揺らぎをはじめて観測した。この揺らぎは比較的ゆっくりとしたもの(10^<-9>sec)で従来の三軸分光法では静的なものとしてしか捕えられなかった。この成果は秩序-無秩序の構造相転移の微志視的解釈にとって非常に重要である。 SrTiO_3では構造相転移の際に1meVの励起エネルギーをもつソフト・フォノンのスピンエコー信号の測定に成功し、線幅の測定が可能であることを示した。この結果によるとフォノンの寿命が予想されていたよりも長いということが示唆された。詳細については今後の実験の結果に期待が寄せられる。 Crでは磁気相転移の際に発達するspin density waveのピークがμeVの分解能で見ても静的であることを示し、このエネルギー範囲における動的要素を却下した。 これ等の実験結果はこの高分解能の分光法により従来の熱中性子三軸分光法では到達不可能であるエネルギー領域でまったく新しい現象が観測できることを実証するものである。 またこの実験と平行にスピンエコー・オプティッククスの開発を行った。
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