研究課題/領域番号 |
06452054
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹内 伸 東京大学, 物性研究所, 教授 (60013512)
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研究分担者 |
鈴木 邦夫 東京大学, 物性研究所, 助手 (50107439)
枝川 圭一 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (20223654)
前田 康二 東京大学, 工学部, 教授 (10107443)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 準結晶 / 正10角形相 / 電子状態 / 走査トンネル顕微鏡 / 電子の局在 |
研究概要 |
1. Al-Pd-Fe およびAl-Co系の2種類の合金系について、溶融状態から徐冷することによって、格子定数が数ナノメートルの正10角形相の高次の近似結晶を作成した。その電気抵抗の異方性を測定したところ、c軸方向の電気抵抗が金属的にふるまうのみ対し、疑準結晶面内の電気抵抗は約一桁大きく温度依存性は極端に小さく、従来測定してきた何種類かの正10角形相準結晶の異方性と基本的に同じ結果が得られた。この結果は、藤原らによる近似結晶に関する理論的な研究結果とよく一致しており、フェルミレベル近くの電子が、(疑)10回対称面内ではc軸方向にのびたクラスターコラムに局在し分散の小さいバンドを形成して有効質量が非常に大きくなることがこの面内の電気伝導に反映していると結論される。 2. 溶融状態から徐冷することによって作成したAl-Co-Ni正10角形準結晶の単結晶を用いて、10回対称軸に垂直な面について走査トンネル顕微鏡(STM)観察を行なった。STM真空槽内に設置したアルゴンイオンスパッター装置により試料表面をスパッターしさらにアニールしたのち、バイアス電圧-0.1V、セット電流1nAでSTM像を得た。その結果、しばしば数nmの間隔の不規則なまだら模様の像が得られた。そのパターンは、藤原らが理論的に求めたフェルミレベル近くの電子の波動関数の振幅に関する空間分布と極めて類似しており、10回対称面内の電子の局在状態が直接観察されたものと考えられる。 以上のように、正10角形相準結晶に関するわれわれの実験結果は藤原らの理論研究の結果をよく再現しており、2次元準結晶における特異な電子状態が明らかにされた。
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