研究課題/領域番号 |
06452071
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 眞 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 助手 (30144398)
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研究分担者 |
岸本 俊二 高エネルギー物理学研究所. 放射光施設, 助手 (00195231)
五十棲 泰人 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50027603)
片野 林太郎 京都大学, 化学研究所, 助手 (50231254)
戸崎 充男 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 助手 (70207570)
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キーワード | 放射光 / 高エネルギーX線 / 2次元位置検出器 / ガス検出器 / ドリフト方式 / 高気圧計数ガス |
研究概要 |
2年度に亘る本研究は、初年度において検出器本体の設計製作及び高気圧ガスハンドリングシステム等の周辺装置の製作、整備を行ってきた。最終年度の本年度は、検出器本体の特性調査に重点をおいて開発を精力的に進めてきた。本年度の研究実績の概要は次の通りである。 1.電位分布計算:初期電子のドリフト領域及びアノード電極近傍の電位分布計算を、反復計算可能な表計算ソフトを使用して種々のフィールドワイヤーの配置の異なる電極構造に対して行った。その結果、当初の電極配置より優れた配置を見出す事に成功した。検出器内部構造は各層の厚みが2,4,6,8mmの4層構造となっていて、各層が独立に作動するよう設計した。これは、検出効率の向上及び高計数率化達成を目的としているからである。電位分布計算の結果、6mm厚層が最も初期電子収集効率が高い事を見出した。これたの結果に基づき電極配置を改良し、X線発生装置からのX線、Sr-90からのβ線、加速器からの荷電粒子による検出器応答を調査したところ、計算結果と一致することが判り、この電位分布計算は電極配置の決定にあたっておおいに威力を発揮した。 2.荷電粒子を用いた本番測定:京大理学部のタンデム加速器からの7MeV陽子ビームを用いて、ドリフト速度、信号特性、位置分解能等の本格的特性調査を数回行った。検出器は、250X250mm^2、厚さ60mmのステンレス製で有効窓面積約100X100mm^2のものを使用した。Ar+5%CO_2、Xe+10%CH_4等の計数ガスを使用し、ガス圧も変化させた。多くの重要なデータが集積され、詳細な解析を行った。その結果、X線に対しては少なくても、300μmの位置分解能が得られることが強く示唆された。 3.本年度実験の成果:本研究は、設計製作に始まり、各部品、装置の総合的組み上げを経て、本格的特性調査を完了し、相当量の基礎データを得た段階に達した。ほぼ当初案通りに進行し、独自な着想に基づく初めてのX線用ドリフト位置検出器の開発に有望な結果を得ている。更に、比例計数管の基本的動作特性として、高気圧下での空間電荷効果が引き起こす検出器応答について新たな知見が得られた。この成果を「Effect of self-induced space charge in a high pressure position-sensitional counter」として論文発表した。
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