研究課題/領域番号 |
06452076
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浜野 洋三 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (90011709)
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研究分担者 |
吉田 茂生 東京大学, 地震研究所, 助手 (50262085)
大野 正夫 東京大学, 理学部, 助手 (00251413)
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キーワード | 地球史 / 古地磁気学 / BIF / 磁場変動 / 地球進化 / 地球中心核 |
研究概要 |
太古代の岩石試料について古地磁気測定を行った。試料はオーストラリアピルバラ地域で採集されたものであり、岩石の種類は主として火山岩及びBIF(縞状鉄鉱)である。火山岩は主に海底に噴出した玄武岩であり、これらの試料について熱消磁及びテリエ法による古地球磁場強度の測定を行った。熱消磁の結果はほとんどすべての試料が安定な残留磁化を持ち、磁化は1成分であり2次的な成分は少ないことがわかった。また残留磁化は580度Cでほぼ無くなるので、磁化を担う鉱物はマグネタイトであると考えられる。高温での磁気帯磁率及び飽和磁化の測定を行った結果では、実験室内での温度による変質は650度C以下ではほとんど起こらず、より高温にすると変質して多くのマグネタイトが析出する。岩石中の粘土鉱物等の測定からこれらの岩石の変質は軽微であるとされているが、顕微鏡観察の結果からも噴出時の変質によって生じた粒子サイズの小さなマグネタイトが持つ化学残留磁化がこれらの試料の残留磁化の起源であると考えられる。テリエ法の結果は33億年前の地球磁場が現在より数倍大きかったことを示唆しているが、信頼できる太古代の磁場強度を推定するためには化学残留磁化の磁化効率についての研究がまだ必要とされる。BIFに関しては33億年及び25億年の年代を持つ試料について、熱消磁実験を行った。測定結果は、BIF試料の残留磁化が堆積方向には数回の逆転を示し、また磁化方向及び極性が堆積面を示す縞方向にはそろっていることから、BIFの示す磁化が堆積時に獲得したものであり、かつ太古代に磁場の逆転があったことが示唆される。残留磁化を担う磁性鉱物は33億年前の試料はヘマタイト、25億年前の試料はマグネタイトである。これらの磁性鉱物はそれぞれ堆積時に存在していたものであり、堆積後に2次的に作られたものではないことが、残留磁化の測定結果から示唆される。
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