研究概要 |
本研究の目的は地球環境の変動リズムを記録している海底縞状堆積物から、その変動の周期を読みだし、40億年にわたる地球回転力学系の進化の歴史を明らかにすることである。本年度はそのための試料の確保と基礎的な記載を行う装置の開発を行い、それを用いた分析を開始した。試料については33億年前の縞状鉄鉱床およびチャート、25億年前の縞状鉄鉱床、19億年前のストロマトライトなどの大型試料を確保した。これを切断・研磨して基礎的記載に供した。基礎的記載の中でもその基本となる可視光画像を取り込むスキャナを開発した。これは100cm×50cmの範囲にわたって動くスキャナのヘッドに高精度なCCDカメラを搭載し、R,G,Bのデジタル画像が計測できるものである。これによって試料の色や形を定量的に測定でき、縞状構造の空間系列データを高速度・高精度で取得できるようになった。同時に紫外蛍光画像計測を試み、これが有用な記載項目であることがわかった。これは有機物や重金属の濃集イベントをきわめて効率よく検出、測定することができる。また、イメージングプレートによる試料の放射能画像測定を試み、十分に使える手法であることを明らかにした。蛍光X線スキャナにらる化学組成画像の取得を試み、広いサイプル表面に対して化学組成画像を得ることができるようになった。さらに同じ試料に対するこれらの画像データ相互の相関を分析し、縞状構造から堆積過程の変動をよみとる手法の開発を開始した。
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