我々はこれまで、超長周期地動ノイズの原因は気圧勾配や風力であろうこと予想し、それらが具体的にどのようにして超長周期地動ノイズを引き起こしているのかを調べてきた。平成6年度(初年度)には、気圧勾配を超高感度で観測する方法を開発し、犬山地震観測所において、広帯域地震計、気圧計、高感度温度計などと同時観測を行った。平成7年度には広域での気圧勾配を求めるための気圧観測を名古屋大学構内と瀬戸市において実施し、解析をすすめてきた。その結果、これまでの予想に反して、広帯域地震計に現れる超長周期ノイズは気圧勾配や風力より、気圧の時間変化に強く相関していることが分かった。 すなわち、地殻が不均質なため(地形の影響も考えられる)気圧の変化(荷重)にたいする応答が一様ではない。このため地面の傾斜が引き起こされ、これが超長周期地動ノイズとして観測されるようである。我々の、これまでの解析は地震の観測が犬山のみであり、地殻の状態の違いによる。気圧への応答の違いを見ることができていない。今後は地殻の状態が異なる場所での観測を行い、本研究での結果を検証する必要がある。 また、気圧変動のごく小さい時のノイズを調べてみると、我々がこれまで予想していなかった、原因を別にするノイズがあることが分かってきた。気圧変動に関するノイズが明らかになった後、このノイズについても調査する必要がある。
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