研究概要 |
高分解能気候モデルの開発として,今年度は2つの方向で研究をおこなった.1つは鉛直分解能を上げて,赤道成層圏の準2年振動(QBO)がどうなるか調べてみた.鉛直差分間隔は500mの高分解能で,全体で60層のモデル実験をおこなった.ただし水平分解能は上げなかった.また幾分か工夫をおこない,4次の水平拡散の大きさを普通の大気大循環モデルで使われているものより,1桁程度小さくした.結果は4年程度の周期のQBOが再現された.解析結によると,振動の東風はn=1の西向き赤道重力波が重要な役割をはたしている.これは前にT106の1/5セクターモデルの結果と同様である.また振動の西風はKelvin波と東向きの重力波が引き起こしていることがわかった.これと以前のセクターモデルの結果から西風はKelvin波と東向きの重力波が,また東風はこれまで言われていたRossby-garvity波ではなく,西向き重力波が大事であることを示した.来年度はより現実的な状況で実験をおこなう. また水平の分解能を上げるための準備実験をおこない,中緯度の重力波についての研究もはじめた.中緯度における慣性重力波の再現に最適なモデル,特に,重力波の場としての亜熱帯ジェット,傾圧波が安定に得られる条件を主にT21モデルを用いて調べた.その結果,セクターモデルでは場は不安定であること,重力波を表現するために鉛直分解能をあげることによる影響は殆どないことが明らかになった.
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