平成7年度は平成6年度に整備した測定系を使用して、多層膜反射鏡の反射率及び金属薄膜フィルターの透過率を測定した。将来のプラズマ撮像をヘリウムイオン、ヘリウム原子、及び酸素イオンにて行う事を考え、測定波長は特に304Å(ヘリウムイオンの共鳴散乱線)、584Å(同ヘリウム原子)、及び834Å(同酸素イオン)近辺に重点を置いた。 ヘリウムイオンの共鳴散乱線である304Åを選択的に反射する為、反射鏡表面にMo/Siの多層膜を各層厚み130Åで10層蒸着し、この反射率を測定した。反射率は304Åで20%(理論値22.7%)、半値幅40Å(FWHM)と期待どおりの性能を確認した。また、この光を選択的に透過し、長波長の不必要な光を遮断する為のAl/Cフィルターを厚みを変えて数種類制作し、これらの透過率を測定した。例えば厚み1500ÅのAlと厚み270ÅのCの組み合わせでは、透過率は304Åで22.1%と十分であったが、同時に584Åの波長でも1%の透過率を示し、この両者の光を将来の観測で区別する為には、カーボンを現在より厚く蒸着するか、あるいはカーボンを蒸着しないフィルターを用いて観測を行い、両者の差からヘリウムイオンからの散乱光とヘリウム原子からのそれを区別する必要のある事がわかった。酸素イオンの共鳴散乱光に関しては、観測上1216Åの水素からのライマンα光が雑音として侵入する事を防ぐ為、特に1200Å程度の光を反射しづらい鏡と、この波長を強く遮断するフィルターを設計中である。前者に関してはMgF_2を鏡表面にコーティングする事により、また後者に関してはインジウムをフィルター材料として使用する事により問題を解決しようとしており、来年度に試作(フィルターは試作完了済)、測定を行う予定である。
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