研究概要 |
今年度は,昨年度に求められたCaO-MgO-A12O3-SiO2系ポテンシャルモデルを一層精密化するとともに,モデルをNa20成分を含む系に拡張することを試みた. 昨年度に試みたCaO-MgO-A12O3-SiO2系の27種の結晶に,Naイオンを含む2種のケイ酸塩結晶(ヒスイ輝石とアルバイト)を加えた合計29種の酸化物,ケイ酸塩結晶を用いてポテンシャルモデルの精密化を行った.取り扱った29種の結晶は大変多様である.例えば,結晶内における陽イオンの配位数は,Siイオンについて4と6,Mgイオンについて4から12,Caイオンについて6から12,A1イオンについて4から6のものが存在し,これら配位数の差にともない,最近接原子間距離についても,結晶間で,又各種多形間で大きく異なっている.このように結晶内の結合様式が大変多様であるにもかかわらず,29種の結晶の全てについて,分子動力学(MD)法を用いて,実測の結晶対称性,格子定数,最近接原子間距離,体積弾性率を高精度で再現することに成功した, これら結晶に加えて,エンスタイト,ウォラストナイト,ディオプサイド,アノ-サイト,アルバイト組成のケイ酸塩融体についても,MD計算により,それぞれの実測の,モル体積,最近接原子間距離,配位数,体積弾性率,体積熱膨張率をかなりな精度で再現することに成功した. 又,今年度に購入したダイヤモンドアンビル用X線ラウエカメラによる,プロファイルフィッティング法を用いた,マントル鉱物の格子定数の圧力依存の精密化のための予備実験を現在行っている.
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