研究課題/領域番号 |
06452104
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10183097)
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研究分担者 |
斎藤 敏夫 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (90170513)
生駒 俊明 東京大学, 生産技術研究所, 客員教授 (80013118)
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キーワード | テラヘルツ光 / 量子ナノ構造 / 半導体ヘテロ構造 / 量子細線構造 / ホットエレクトロン / プラズモン / 遠赤外光 / ガリウムム素 |
研究概要 |
1.テラヘルツ光検出システムの構築 本年度は、主に、半導体ヘテロ構造中のホットエレクトロンからの極微弱なテラヘルツ光輻射の強度,およびそのスペクトルを精密測定できるシステムを構築してきた。また、テラヘルツ光フィルターとなる高移動度GaAsヘテロ構造の成長、およびフィルターの透過、吸収測定をフーリエ分光法を用いて較正できるシステムを構築し、その吸収特性を評価している。2.量子細線構造中のホットエレクトロン 本研究では、テラヘルツ光発光分光測定を用いて、電子系に擾乱を与えることなく、量子細線構造等の半導体量子ナノ構造中の電子分布や電子温度の評価を行うことを予定している。そのために、レーザ干渉露光システムの導入を行い、2000オングストロームの周期の超微細構造が形成できるようになった。さらに、プリンストン大学との共同研究により、量子細線構造からの黒体輻射、サブバンド間発光の強度、およびスペクトルの測定を行い、電子温度の決定を行った。3.電子温度とプラズマ温度 また、AlGaAs/GaAsヘテロ構造表面に数ミクロンオーダーの微細金属グレーティングを形成した試料からの2次元電子プラズモンによるテラヘルツ光発光の実験を行った。この実験では、1THz近傍の周波数領域に狭帯域の発光が観測された。この2次元電子プラズモンと2次元電子系への入力電気パワー、およびグレーティングを有しない試料からの黒体輻射の関係を詳細に検討した結果、黒体輻射により求められる電子系の電子温度とプラズマ振動の温度は一致していることがわかった。このことは、高電界下では、電子-電子相互作用は極めて短い時定数で、異なる自由度を有する電子系の運動モード間を、効率よく平衡状態に導くことを示唆している。
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