研究課題/領域番号 |
06452106
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西永 頌 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10023128)
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研究分担者 |
田中 雅明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30192636)
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キーワード | 微小重力 / GaSb / Te不純物 / 空間分解フォトルミネッセンス / 偏析現象 / マランゴニ対流 / バースタイン-モス効果 / ブリッジマン成長 |
研究概要 |
今年度は微小重力下で成長させたTeドープGaSb内の濃度分布を空間分解フォトルミネッセンス法(SRPL)法により調べた。ドナー不純物濃度が増大すると伝導帯が電子によって埋められ、フェルミ-準位が上昇するので発光エネルギーが増大する(Burstein-Moss効果)。レーザー光を20μmにしぼり、その場所のフォトルミネッセンススペクトルを調べると局所的なTe濃度が測定できる。そのためには先ず、フォトルミネッセンスの発光ピークとTe濃度の関係を求める必要がある。Te濃度の異なる何枚かのGaSbウェーハを用意し、Te濃度をHall効果により決定したあと、SRPL法によりピークエネルギーを測定した。次に、宇宙で成長したGaSb結晶のたて断面の上をSRPLを用いて場所を変化させながらスペクトルのピーク波長に対する分布を求めた。これによると、地上で成長させた種結晶部分ではTe濃度は約2×10^<17>/cm^3の一定値をとるが、宇宙で成長が開始された部分では偏析現象のため急落し、その後急速に2×10^<17>/cm^3の値に回復する。 もし、わずかながら熱対流があるか、又はマランゴニ対流があり、融液が混合されたとすると濃度の回復は非常にゆっくりとなるはずであるので、それ程強い流れは融液内にはなかったものと考えられる。宇宙における成長速度や、拡散係数の値がわかっていないため、理論と実験の厳密な比較は困難ではあるが、今回の実験では、自由表面が現れていたにもかかわらず、流れはかなり小さかったことを示す。これは、試料の軸方向の温度勾配が非常に小さかったためと考えられる。
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