研究概要 |
本研究ではエキシマ・レーザーアブレーションを用いて、酸化物誘電体の超格子を作製準備し、そこにおいて超格子に固有のゾーンフォールドを確認・研究することを目的にしている。 対象の材料は前兆形強誘電体である。これを選択している理由は以下のようで、本研究における非常に重要なポイントである。結晶の格子システムを人工設計して超格子化することにより、前兆形のものを正規強誘電体に変質できる可能性が有るわけで、これが実現すれば、誘電体材料の設計に大きな自由度が生まれるからである。 さて、レーザーアブレーションを行う上で、致命的な問題が一つあった。それはドロップレット問題である。この解決にまず当たった。アブレーション粒子の飛行挙動を解析する中から、粒子の拡散流を積極利用することで問題が完全解決できる、という新しい概念が生まれた。この概念に立って誕生した新しい薄膜成長方法が“エクリプス・レーザーアブレーション法"である。この効果は実に絶大であって、以降、ドロップレットは議論の対象から完全にはずせるようになった。 薄膜成長した材料はSrTiO3,BaTiO3,BiSrTiOなどで、それらを交互に多重積層した超格子の試作を進めた。FTIR共鳴吸収スペクトルに目指すゾーンフォールドの信号を僅かに見れるようになったのは成果であろう。今後の進展の期待していただきたい。
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