研究概要 |
初年度として、1.非線形光学有機結晶の作製、2.フェムト秒時間分解干渉計の試作・性能把握とその非線形光学現象ダイナミックスの解明への応用実験、3.制御可能THz繰り返し光パルス列発生装置およびその出力パルス光の位相変化・チャープ・強度波形測定装置の設計検討を行った。 1.フェムト秒時間域の非線形光学発現機構が未知である3次非線形結晶としてDEANST(4-(N,N-diethylamion)-β-nitrostyrene)に注目し、この分子の化学合成および溶液法による結晶成長を行い、数mm角の良質な結晶を得た。 2.フェムト秒域での3次非線形光学発現機構を解明するため、時間分解干渉計を試作し、高感度(0.05mradまで非線形位相変化が観測可能)でかつ〜100fsの高時間分解能の性能を得た。これを用いて、CS_2の3次非線形分極を、100fs以下で変化する電子分極と100fs以上で変化する分子運動による分極とに分離して観測することができた。特に、フェムト秒域で変化する、異なった3次非線形感受率テンソル成分を独立に高精度に観測でき、それら一つは負の符号で変化することを確認した。 3.39fs(800nm)チタンサファイアレーザーパルスを空間位相変調器によりパルス整形するための光学系、およびその出力パルスの位相変化・チャープ・強度波形を周波数分解光ゲート法により測定するための光学系を一体化させた装置の設計・試作に着手した。
|