研究概要 |
本研究は、周期可変なTHz繰り返しフェムト秒光パルス列による多様な分子凝縮系の特定振動量子状態制御をめざして、これに柔軟に対応できる光源としてのフェムト秒光波制御手法の開拓と、被制御対象として機能的物理的に意義ある分子系の探索とを目的として行われた。以下に成果を列挙する。 (1)新しい近赤外から近紫外に渡る超広域帯(Δν=500〜600THz)準線形チャープパルス発生法の定量的提案。 (2)フーリエ変換光学系・回折格子対・128チャンネル空間位相変調器からなる光波整形装置を用いた2.06THz繰り返しパルス列の発生。 (3)フェムト秒時間分解干渉計法による、CS_2とその希釈液における2成分の非線形屈折率変化(n_<2//>(t)とn_<2⊥>(t))の高精度測定とその物理的起因の解明。 (4)高時間分解縮退四光波混合分光による1- (3-thienyl) -3- (4-chlorophenyl) propene-1-one(TCPP)結晶・溶液および分子内電荷移動型分子である4-N,N- (dimethy1amino) -β-nitorostyrene(DEANST)溶液のフェムト秒域での3次非線形感受率の測定とその物理的起因の解明。 (5)カロテノイド溶液のフェムト秒域での非共鳴Kerr応答特性の測定とその物理的起因の解明。 (6)電場変調分光による、2分子アゾベンゼン膜、DEANST-PMMA薄膜、DEANST結晶の、300〜600nm波長域での三次非線形感受率の分散特性測定とその物理的起因の解明。 (7)高感度時間分解紫外発光分光法による、グアニンとその関連分子水溶液からの極微弱ピコ秒時間分解発光スペクトルのpH依存性の測定とそれらの励起状態緩和過程の解明。
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