本年度は、レーザ蒸着(レーザアブレーション)により、サファイアおよびSi基板上へLiNbO_3(LN)結晶膜を堆積して、その結晶性、光導波特性、電気光学(EO)効果を評価し、光相互接続用デバイス構成のための基礎データを得た。主要な研究成果は以下のとおりである。 1.ArFエキシマレーザによるCカットサファイア基板上へのLN膜ヘテロエピタキシャル成長においては、基板とターゲット間距離dを大きくすることによってdropletsが激減することを見い出し、d=40mmで平滑なLN膜を堆積できた。 2.上記のLN光導波路膜はLi_2O欠損であるが優れたC軸配向性を示し、現在までのところ波長633nmにおいて伝搬損失5dB/cmを得ている。 3.さらに、LN膜表面にSiO_2バッファ層を介してくし形電極(Λ=12μm、長さ5mm)を装荷してEO偏向器を作製して、最大回折効率が得られる印加電圧V_MをもとにEO定数を評価し、r33=4.9pm/Vを得た。このEO定数はサファイア基板上に堆積したLN膜ではこれまでの最大である。 4.また、新たに購入したパルスNd:YAGレーザを用いてLNのレーザ蒸着を試みた。現在ArFエキシマレーザとの比較検討中である。 5.Si基板上へのLN膜堆積については、反応ガスとしてO_3を用い基板温度を最適化して、数pm/Vのr33をもつLN膜が得られる見通しである。
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