平成6年度の目標は、(1)既存有機非線形光学材料に対する理論設計、(2)種々のLB膜の屈折率測定、(3)既存無機非線形光学材料上へのLB膜積層、(4)既存有機非線形光学材料の大面積薄膜単結晶化であった。 (1)に関しては、既存の有機材料MBANPおよびDMNPの非線形光学定数d_<22>およびd_<33>、d_<32>に対し、LB膜としてDONPUを用いた場合の解析を行い、基板ガラスを選定し、適当なバッファー層を設ければ、非線形層の厚さの許容範囲および変換効率が相互作用長5mmに対し、70、140、200nmおよび2.5、1.1、50mW(基本波パワー100mW)に達することが判明した(IKETANI Conferenceにて発表、投稿準備中)。これは、与えられた非線形層の厚さの下でLB膜を所望の層数、積層することで位相整合が可能となることを意味する。ただし、バッファー層の厚さはある程度、制御する必要がある。 実験的には、(3)に関して、無機非線形光学LiNbO_3基板結晶上にエピ成長させたLiTaO_3薄膜結晶に対し、LB膜を積層して予測通りの広い位相整合許容範囲が得られた(1994年秋季応物学会にて発表)。LB膜製膜装置の入手が遅れたこともあり、(2)の実験は次年度に集中的に行われる予定である。そのための(4)の大面積の有機非線形薄膜単結晶育成には、材料はMNAであるが成功している(MRジャパンにて発表、投稿準備中)。
|