本研究は、光印加による半導体レーザ光周波数変復調方式について、理論的に予想されるキャリアのバンド内緩和による超高周波域での変調機構について、その新しい光周波数変調方式の上限周波数を実験的に明らかにすることを目的とする平成6、7年度に亘る2か年計画の研究である。具体的には、連続的に発振する半導体レーザの活性層に外部から数100GHzあるいはそれ以上の周波数の電磁波(サブミリ波〜遠赤外光)ないし、極短光パルスを照射することにより、活性層の屈折率を変えてレーザ共振器の光路長を変化させて波長を変調する、新しい光周波数変調方式の上限周波数を実験的に明らかにする。 まず計画初年度の平成6年度では研究計画に従い、光印加方式による半導体レーザ光周波数変調の上限周波数を実験的に明らかにするための方法を考案して実験システムを設計した。次に、現有の光学実験設備と新たに購入したパルス駆動半導体レーザとを用いて、実験システムを構築した。このような実験システムの構築に並行して、光印加による半導体レーザ光周波数の変調現象を利用したいくつかの実験を実施し、得られた結果の一部については学術雑誌あるいは学術講演等により公表した。 計画最終年度の平成7年度には、連続発振する半導体レーザの活性層にパルス幅ns以下の光パルスを照射したときの半導体レーザの発振周波数のシフトを、先に構築した実験システムにより、新たに考案したスペクトル経由による自己相関法を適用して調べ、そのような短光パルス照射下においても約860MHzの光周波数の変調が生じていることを、ほぼ明らかにした。これらの結果の一部は既に学術講演会等で公表したほか、8月に開かれる国際会議においても発表の予定である。
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