研究課題/領域番号 |
06452137
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
早川 禮之助 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00011106)
|
研究分担者 |
木村 康之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00225070)
|
キーワード | 動的光散乱スペクトロスコピー / 非線形誘電緩和スペクトロスコピー / Goldstoneモード / 強誘電性液晶 / 反強誘電性液晶 |
研究概要 |
本年度はまず昨年度に開発された動付記光散乱測定装置を用いて、強誘電性液晶の分子長軸の方位角方向の揺らぎである位相モード(Goldstoneモード)のダイナミックスの測定を行なった。散乱光強度の自己相関関数から得られる相関時間の散乱角依存性を測定することによって、SmC^*相における特性量である螺旋のピッチおよび弾性定数と粘性係数の比の温度変化が精密に求められた。同時に、応答関数測定法である線形誘電緩和スペクトルを用いて、緩和時間を求めた結果、動的光散乱法(揺らぎ測定法)との等価性が確認された。さらに、螺旋軸と垂直方向に直流電場を印加し、位相モードに周期的な変調(ソリトン格子)を誘起させた結果、相関時間の分散が螺旋の波数の半分の波数において分裂し、ギャップを生じることを見いだした。また、このギャップが電場強度に比例して増大すること、螺旋消失電場以上の電場では相関時間の短い分枝のみが残ることなどが観測されたが、これらの結果は螺旋の弾性エネルギーと電場と自発分極の相互作用を考慮した現象論的運動方程式を用いて理論的に解釈することができた。 さらに、広帯域での非線形誘電緩和スペクトル測定を可能とするシステムを新たに開発し、これを反強誘電性液晶に適用し、その相転移および各スメクティック相におけるダイナミックスに関して新たな知見を得た。まず、SmC_A^*相では3次非線形誘電スペクトルを測定することによって、従来、線形誘電緩和では検出できなかった反強誘電相におけるGoldstoneモードの測定が可能となった。SmA相と他のスメクティック相との臨界点近傍ではSmA相での非線形誘電率の臨界挙動を観測し、Landauの現象論による結果と比較することにより相転移の次数や現象論的係数の決定が可能となることを示した。さらに、これを用いて反強誘電性液晶の現象論的係数と分子構造との相関についての議論を行なった。
|