工学システムにおける大域的最適化モデルに関する研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06452141
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 今野 浩 東京工業大学, 工学部, 教授 (10015969)
• 研究分担者: 久野 誉人 筑波大学, 電子情報工学系, 助教授 (00205113) ; THACH Phan T 東京工業大学, 工学部, 助手 (10242299) ; 矢島 安敏 東京工業大学大学院情報理工学研究科, 講師 (80231645)
• キーワード: 大域的最適化 / 低ランク凹関数 / 外部近似法 / 非線形計画法 / 切除平面法 / 非凸型問題 / パレート最適面 / 多目的最適化

研究概要

今年度得られた成果の主なものは、以下のとおりである。
(1)多目的最適化における“パレート最適曲面上での凸関数最小化問題"に対して、外部近似法を適用する際に、時折発生する異常収束を防止する手段として、辞書式順序付け法を開発した。これによって、どのような場合でも外部近似法が、最適点を生成する保障が得られた。
(2)2部グラフ上での凹型コスト輸送問題に対して、外部近似法を用いたアルゴリズムを開発した。この方法は、非線形費用を伴う枝の数が少ない場合には、最適解を効率的に求めることができる。
(3)低ランクの凹2次計画問題に対して、Rosenの切除平面とTuyの切除平面を組合わせた解法を提案し、その効率性を実証した。これをタブ・タ-チ法と組合われば、より実用的な解法が得られるものと期待させる。
(4)情報処理学会の求めに応じて、大域的最適化に関わるサーベイ論文を執筆した。
(5)5年がかりで執筆中であったモノグラフ「Optimization on Low Rank Nonconvex Structures」の最終原稿を完成させ、1996年2月にKluwer Academic社に送付した。この書物は、Global Optimizationの分野における、今野、久野、矢島、Thach、Tuyらの10年間にわたる成果を集大成したもので、今後長期間にわたって、この分野の基本的文献として利用されることになるであろう。

研究成果

• [文献書誌] KONNO,H. and WATANABE.H.: "Bond Portfolio Optimization Problem and Their Applications to Index Tracklng" J. of the Operations Research Society of Japan. 39(未定). (1996)
• [文献書誌] KONNO,H. and TAKASE,T.: "A Constrained Least Square Approach for Estimating the Term Structure" Financial Engineering and the Japanese Markets. 2. 125-138 (1995)
• [文献書誌] KONNO,H. and TAKASE,T.: "On the De-Facto Convex Structure of a Constrained Least Square Problem" Financial Engineering and the Japanese Markets. 3(未定). (1996)
• [文献書誌] 今野 浩: "大域的最適化の現状:低ランク非線型問題を中心に" 情報処理. 36. 1062-1069 (1995)
• [文献書誌] YAJIMA.Y. and KONNO,H.: "An Algorithm for a Concove Production Cost Network Flow Problem" J. of the Operations Research Society of Japan. 38. 230-239 (1995)
• [文献書誌] THACH,P.T.: "Diewent-Crouzeix Conjugation for General Quasiconvex Duality" J. of Optimization Theory and Applications. 86. 719-743 (1995)
• [文献書誌] 今野 浩: "理財工学I:平均・分数モデルとその拡張" 日科技連出版社, 166 (1995)
• [文献書誌] KONNO,THACH,TUY: "Optimization on Low Rouk Nonconvex Structure" Kluwer Academic Publishers, 520 (1996)