研究課題/領域番号 |
06452144
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
古屋 泰文 東北大学, 工学部, 助手 (20133051)
|
研究分担者 |
島本 聡 埼玉工業大学, 工学部, 助教授 (10118664)
松本 實 東北大学, 素材工学研究所, 講師 (30006043)
木村 久道 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70250818)
高木 敏行 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (20197065)
|
キーワード | インテリジェント材料 / 複合材料 / 繊維強化材料 / 形状記憶合金 / 相変態 / 破壊 / 自己強化 / き裂 |
研究概要 |
【目的】91年度に加圧鋳造法でTiNi合金繊維の熱弾性型相変態に伴う形状記憶収縮効果や減衰(内耗)特性変化を積極的に材料設計に取り入れた環境(温度)応答型のAl基複合材料の可能性を示した。本年度はその発展として、鋳造結晶よりもさらに微細なAl粒子を圧粉・焼結処理した、粉末治金TiNi/Al複合材料を試作することを試み、その焼結条件と機械的強度との関係を調べた。また、TiNi/光弾性エポキシ樹脂複合材モデルにより、本提案の知的機能材料としての能動的き裂閉鎖作用を実証することを目標とした。 【方法】Ti_<50>Ni_<50>繊維(φ=0.4mm)を一方向に配列、室温大気中でAl圧粉後(200MPa)に500℃〜630℃真空中焼結を行い複合材料板(2mm厚)を作成した。材料強度特性としては、ビッカース硬度(Hv)、引張り応力〜ひずみ特性の温度依存性、振動減衰(tanδ)特性などを調べた。高分子エポキシ複合材では、高温側TiNi繊維変態収縮に伴うき裂閉鎖・自己破壊防御効果をき裂周りの光弾性縞解析により検証した。 【結果】TiNi/Al複合材が上記の様な環境応答機能特性を有するためには、TiNi合金の形状記憶効果(擬弾性変形)発生限度が実用的には最大予ひずみ=5%程度である。そこで、(1)Al粉末焼結母相が8〜10%程度の塑性変形能を有すること、および高温側焼結時間中に(2)TiNi/Al界面にの原子拡散脆弱相(金属間化合物)の析出を出来るだけ抑えることなどが必要条件となる。570℃、1時間真空焼結条件では、引張り伸びも約10%が得られた。また、TiNi合金の逆変態温度(約60℃)以上で、引張り応力は明確に上昇した。また、エポキシモデル材でも、高温側でき裂周囲の光弾性縞次数は約50%に低下しており、提案した形状記憶TiNi繊維強化/Al基もしくはポリマ基の複合材料試験片を用いて知的な環境応答型の材料力学的機能特性(高温自己強化、き裂閉鎖作用、振動減衰作用など)を確認出来た。来年度からは理論的な検討も加える予定である。
|