研究概要 |
次世代のエネルギ開発のためには、高効率産業用ガスタービンの開発が必須となっている。この目的のためには、それらを構成している構造材料の健全性、信頼性を確保しながら、それらに極限状態下での使用に耐えうる機能を持たせる技術が必須である。このような背景に鑑み、本研究で行った研究とそれより得られた成果の概要は以下の通りである。 (1)実機ガスタービンの動翼の状態をシミュレートした温度勾配つき超高温疲労試験装置の開発に成功した。 (2)NI基超合金上にセラミックによる遮熱皮膜を形成させた遮熱コーティングを対象として、大気雰囲気中で高温加熱保持時間を変化させた2種類の熱サイクル試験を行い、熱サイクルによって発生した表面き裂,層間き裂等の熱サイクル損傷を定量評価した。また,熱サイクル繰返し数の増加に伴うしゃ熱特性の変化も明きからにした。 (3)傾斜機能コーティング材を対象として、真空中での熱サイクル損傷挙動を調べ,傾斜機能化による損傷緩和効果について定量的に明らかにした。 (4)Ni基超合金IN738LCの表面に各種MCrAlY合金をコーティングした耐食コーティング材の高温疲労強度特性を調査し、基材の特性と比較検討を行った。また、同コーティング材中を進展する高温疲労き裂の伝ぱ特性について、特に界面近傍における特性に注目しながら詳細に調査し、あわせてそれらの特性に及ぼす因子とコーティング材質の影響などについて力学的観点から明らかにした。 (5)CVD法によりaluminizing処理を施したNi基超合金の高温疲労破壊特性を調査し、基材の特性と比較・検討するとともに、それらの特性に及ぼす試験温度、応力比等の因子の影響についても調査した。また、高温繰返し負荷中に試験片表面をその場観察できる装置を用いて、疲労き裂発生についての詳細な調査も行った。さらに、これより得られた知見をもとに、表面改質材の疲労寿命を推定する手法についても提案した。
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