研究課題/領域番号 |
06452149
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
城野 政弘 大阪大学, 工学部, 教授 (20029094)
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研究分担者 |
管田 淳 大阪大学, 工学部, 助教授 (60162913)
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キーワード | 先進工業材料 / セラミックス / 金属基複合材料 / 実働荷重 / 疲労強度 / 疲労き裂進展 / 微視的直接観察 / 画像処理 |
研究概要 |
3%けい素鋼板を用いた単一過大荷重下でのき裂進展の遅延挙動は、過大荷重によるき裂先端の鈍化および鈍化底からの複数のき裂の再発生、およびある程度進展した後の微視き裂の屈曲、分岐と強く関連しており、そのため巨視的な力学パラメータである有効応力拡大係数などでは進展挙動の評価は出来ず、微視的なき裂先端開口変位が定量的な評価パラメータとして適当であることを明らかにした。また、定常な変動荷重下で進展するき裂先端の微視的変形は結晶のすべり方位とほぼ一致した方向に大きく、ひずみ分布はなだらかな変化を示したのに対し、単一過大荷重や高-低2段変動など非定常な変動荷重では上記のような分岐、屈曲に対応してひずみ分布は複雑な様相を示した。 SiC粒子ならびにSiCウィスカ強化金属基複合材料を用いた疲労き裂発生、微視き裂の進展挙動の観察からは、同一素材の強化粒子でもその形状によりき裂発生機構および進展機構が大きく異なることを明らかにした。すなわち、粒子強化材料では粒子と母材の界面強度が比較的強くき裂発生は粒子近傍の母材のすべりにより発生するのに対してウィスカ強化材料ではウィスカの抜落ち痕やウィスカ母材界面の割れを起点として多数のき裂が発生する。また、き裂進展においても、ウィスカ強化材料では多数発生したき裂の微視的合体が頻繁に起こるのに対して、粒子強化材料では粒子により停留させられた主き裂先端の極近傍に微視き裂が発生し主き裂と合体する。このようにき裂進展機構は異なるものの、粒子およびウィスカはともにき裂進展に対する抵抗として働き、母材に比べ、そのき裂進展抵抗は増加することを明らかにした。セラミックス材料を用いた2段繰返し変動荷重試験では、金属系材料の長いき裂で観察される遅延現象は生じず、き裂進展の加速現象が観察された。これは高レベル荷重によりブリッジングが壊されるためと考えられる。
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