研究概要 |
1.砥石軸を垂直面内の傾き角および水平面内の旋回角からなる三次元に設定した状態における,ボールねじ工作物と砥石の間の三次元的な相互干渉過程のシミュレーション法と,これを用いた,目的のねじ溝形状に最も近い近似精度を与える最適砥石軸角の極値探索法が開発され,ボールねじ溝形状のシミュレーション結果における精度の検証の結果,普通形状砥石の使用によってゴシックアーク断面のボールねじの創成が充分な精度で可能であることが確認された.また極値探索において二つの独立変数である傾き角に対する従属変数としての精度が細長いピークを有する傾向は知られていたが,その中に極値は1個ではなく複数個が細長く点在していることが新知見として得られ,これに対応した,複数連続極値の探索法が開発された. 2.旋盤の移動台に取り付けてボールねじ創成装置とするための,砥石軸の三次元設定が可能な砥石台の設計・製作がなされた.旋盤の往復台上の振りが小さいが,可動部の構造の簡略化により,可動部を懸垂型にする必要はなくなり剛性が改善された. 3.設計・製作された装置によるボールねじの創成実験が行われた. 4.購入した設備備品である輪郭測定機により,創成されたボールねじの精度検定が行われた.その結果,創成された精度はシミュレーションおよび最適砥石軸角の極値検索において得られた精度よりも幾分低いことが見いだされた. この原因は,製作された創成装置の加工精度,精度検定におけるボールねじ工作物の設定精度等が考えられ,改善の必要があると思われる.
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