研究概要 |
最近ミクロンオーダーの寸法をもつマイクロ機械部品の製作に関する研究が数多く行われている.本研究者らは従来より紫外線が照射されると液体から固体へと硬化する紫外線感光性樹脂を使用してマイクロ部品の製作を行ってきた.従来,本研究者らが用いた手法はマスクパターンを通して紫外線を感光性樹脂上に照射し,そのパターンを樹脂に転写することによってマイクロ部品の製作を行うものであった.本研究では,紫外線感光性樹脂樹脂表面上をレンズで集光した紫外線レーザビームで所望の形状の輪郭に沿って描画することによって高いアスペクト比(高さ/幅)をもつマイクロ部品や3次元構造をもつマイクロ部品を製作することを目的とした. まず最初に集光したレーザビームで樹脂表面上を描画したときの樹脂硬化形状をビーム強度分布と樹脂中における光の吸収から計算した.その計算においてはビーム波長,レンズ焦点距離,樹脂中での光の吸収,ビーム照射量,樹脂表面とビーム焦点の位置などが樹脂硬化形状に及ぼす影響を検討した。そして高いアスペクト比をもつ樹脂硬化形状を得るための最適条件を計算し,実際に得られた樹脂硬化形状が計算値とよく一致していることを確かめた。次に,これらの結果を利用して高いアスペクト比をもつ樹脂製品を製作した.実際に製作した部品は数百ミクロン程度のマイクロギアを数十ミクロン程度の寸法の文字パターン等である. 第二番目の課題として,樹脂の塗布と描画を高さ方向に積み重ねて行うことにより,高さ方向に断面形状が異なる3次元形状を製作した.この方法で3次元構造を製作するために最適な樹脂の硬化条件を,樹脂中での光の吸収を中心にして検討した。そしてその条件に基づいて数百ミクロン程度の寸法のマイクロ部品を実際に製作した。
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