生物指向型生産システムの基礎理論構築に関する研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06452161
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 上田 完次 神戸大学, 工学部, 教授 (50031133)
• 研究分担者: 大倉 和博 神戸大学, 工学部, 助手 (40252788) ; 真鍋 圭司 神戸大学, 工学部, 助手 (90209677)
• キーワード: 生物指向型生産システム / 疑似生態系 / 人工生命 / 創発 / 遺伝的アルゴリズム

研究概要

本年度の実績は以下の通りである。
1.生物指向型生産システムのアーキテクチャ詳細検討(上田)
研究全体を統括するとともに、疑似生態系としての生物指向型生産システムのモデル全体像を構築し、分子生物学におけるタンパク質合成過程との対応から多段階発現様式の詳細を検討した。さらに生物指向型生産システムと人工生命との深い関連性を明らかにした。
2.機械加工過程・工具・工作機械のモデリング(真鍋)
工作物からの形態発現要求を実現するために、加工・組立セル内におくと定めた各要素(工具・工作機械・検査装置・ロボット)間の役割分担を定めた。さらに、生産システム内の基本要求である切削加工過程の最適化をはかるため、計算機上にFEMを用いた切削加工シミュレータを作成した。本シミュレータは切削加工の初期段階から定常状態まで取り扱うことができ、切りくずの形状を予測することができる。
3.生物指向型生産システムの進化に関する検討(大倉)
生産システムにおける各構成要素を種、生産要求を大域環境、生産システム全体を疑似生態系として考えた数理モデルを開発した。このモデルは、生産スケジューリング問題をさらされた環境内で種がそれぞれ進化していくことによって問題を解いていくと考えている。さらに、計算機上にシミュレータを作成し、生産要求が変動する場合と加工セルが故障する場合について詳しく実験し、狙い通り進化を通して生産スケジュールング問題をといている様子を観察した。一方、進化するシステムモデルのひとつである遺伝的アルゴリズムの動特性の改善についても行った。単純遺伝的アルゴリズムに分子進化の中立説に根ざした拡張を試み、大腸菌などにみられる定方向性進化を創発することに成功した。

研究成果

• [文献書誌] K.Ueda: "Biological-oriented Parading for Artifactual Systems" JAPAN-USA Sympoisum on Flexible Automation. 1263-1266 (1994)
• [文献書誌] K.Ueda and K.Ohkura: "A Modeling of Biological-oriented Manufacturing Systems with Two types of Populations" Advancement of Inreligent Production. 75-80 (1994)
• [文献書誌] K.Ueda and K.Manabe: "An Analysis of Obstacle Avoidance behavior of a Plant" JAPAN-USA Symposium on Flexible Automation. 387-391 (1994)
• [文献書誌] K.Ohkura and K.ueda: "Adaptation in Dynamic Environment using Genetic Algorithms with Redundant Representation and Additional Genetic Operators" Intelligent Engineering Systems Through Artificial Neural Networks. 4. 291-296 (1994)
• [文献書誌] K.Ohkura and K.Ueda: "A Genetic Algorithm with Neutral Mutations for Solving Nonstationary Function Optimization Problems" Proc.of 2nd ANZIIS. 248-252 (1994)
• [文献書誌] 大倉和博,上田完次: "非定常関数最適化問題のための遺伝的アルゴリズム" システム制御情報学会. 38(印刷中). (1995)
• [文献書誌] 上田完次: "生物指向型生産システム" 工業調査会, 242 (1994)