昨年度における研究により、対物レンズと観察対象の距離を逐次変えながら複数の画像を撮影し、画像処理によりそれらの画像からピントのあった部分を抽出して1枚の画像に合成するという方法についての基礎的な研究を行い、対物レンズの駆動距離間隔×撮影枚数に相当する焦点深度をもった長焦点深度画像の合成に成功した。 本年度は動画像の合成を目的とした画像処理システムの開発を中心課題として研究を行った。高速な計算機、CCDカメラ、フレームメモリにより画像処理システムを構成し、金属顕微鏡により得られる画像の実時間合成を試みた。本年度の研究実績をもとめると次のようになる。 1)光学顕微鏡画像の合焦部分と非合焦部分を判別するいくつかのアルゴリズムについて定量的評価を行い、動画像の合成に最適なアルゴリズを完成した。この結果、画像合成の速度の面からは、画像の輝度分布の分散による評価法が有利であること、処理速度は若干劣るものの画像合成の精度の面からはアダマ-ル変換を利用した合焦度判定法が有利であることが明らかになった。 2)顕微鏡の対物レンズを高速に前後に駆動可能な圧電素子駆動方式の対物レンズフォーカスユニットを用いて動画像合成を試み、毎秒10枚程度の画像合成を行い長焦点深度顕微鏡観察を行えることを明らかにした。 3)本計算機画像処理による長焦点深度顕微鏡システムを表面形状の三次元表示、微小部品の寸法・形状計測に応用し、測定、組立作業などの作業支援システムとして有効であることを示した。
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