本研究は部分的に接触を伴う弾性流体潤滑問題を機械設計に取り入れるための数値シミュレーション法の確立を目標としている。そのためにはまず固体接触部分の温度上昇をモデル化する必要があるが、本年度はその第一歩として表面あらさ突起部の接触による発熱と流体潤滑膜の粘性摩擦仕事による発熱、流体潤滑膜の熱伝導、潤滑剤の非ニュートン性などを考慮に入れたエネルギー方程式を部分弾性流体潤滑理論と連立させた解析モデルにより、二円筒転がりすべり問題に対して数値計算を行った。その結果、表面粗さの影響が発熱量に影響を及ぼし、流体の粘度変化をもたらして流体の負荷能力が失われ、従来の等温理論や、接触を考慮しない解析と比べて潤滑油膜の厚さが薄くなることが確かめられた。この結果から温度上昇を予測する簡便な設計式を作成し、さらに計算時間が短く、精度の高い、機械設計の使用にに耐えうる数値解析プログラムを作成中である。また、現有のカム・フォロア実機を想定した摩擦力測定装置に対し、運転中の摩擦力及び垂直荷重が精度よく測定出来るよう摩擦力測定用には平行板ばね式ロードセル(設計による特注)、垂直力測定用にはフォロワ下に圧電式ロードワッシャを組み込む等の大幅な改造を行った。平成7年度に、給油温度、押付荷重、回転速度などをパラメータとして摩擦特性を調べ、理論解析と実験結果の比較検討を行い、目的である数値シミュレーション法の確立をめざす。なお、成果の公表も平成7年度に行う予定である。
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