研究概要 |
1.センサ出力のフィルタリングと位置決め分解能 センサの出力には電気ノイズ成分が含まれるため,ノイズ除去のためにしばしばロ-パスフィルタが用いられる.しかしロ-パスフィルタの配置やカットオフ周波数の設定によっては,実際の機構振動まで除去され,位置決め特性を誤って評価してしまう可能性がある.そこで,ロ-パスフィルタの配置やカットオフ周波数の影響を実験的に検討した.その結果以下のことがわかった. (1)ロ-パスフィルタを制御ループ外に配置すると,ロ-パスフィルタの前後で波形が大きく異なり,実際よりも高い分解能があると評価できてしまうためそのような配置は適当でない. (2)ロ-パスフィルタを制御ループ内に配置すると,位置決め機構の過渡応答自体がロ-パスフィルタの影響を受けるため,フィルタ前後で波形の外形はおおむね一致する. 2.転がり案内と電磁モータを利用した機構の微小変位特性 転がり案内や電磁モータは,長いストロークを有する位置決め機構に,しばしば用いられる案内,アクチュエータである.そこで転がり案内と電磁モータを用いた位置決め機構で,微小変位領域での動的挙動を実験的,理論的に検討した.運動伝達要素としては,スチールベルトを用いた.その結果以下のことがわかった. (1)本位置決め機構は,微小変位領域では,ヒステリシスを有するばね特性を示す. (2)機構を簡単な動的モデルで記述し,それを用いたシミュレーション結果と,実験結果を比較検討した.その結果,動的モデルのばね剛性をテーブル変位の関数とすると,両者はよく一致することを確認した.
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