サファイア板をラック歯面に見立てて実際の歯車と接触させて、歯車とラックのかみあいにおける弾性流体潤滑油膜を光干渉法により観察した。その結果、次の結論を得た。 1 歯車歯面上の弾性流体潤滑油膜にも中央部油膜厚さが一定になること、出口域に最小油膜厚さが存在することなどの弾性流体潤滑の特徴を確認することができた。 2 低速で歯車がかみあう場合には、中央部油膜厚さと最小油膜厚さの測定値は理論値とほぼ一致することが認められ、従来の歯車歯面の油膜厚さ計算法で十分正確な油膜厚さが求まることがわかった。 3 歯車の回転数が増すと、歯先において最小油膜厚さと中央部油膜厚さの測定値はともに理論値よりも小さな値となること、また荷重の増加にともないその傾向は強くなり測定値と理論値との比率が減少することが認められた。 4 ピッチ点においては、油膜厚さ測定値と理論値は歯車の回転数が増加しても一致した。 4 潤滑油温度が高くなると、油膜厚さ測定値と理論値との差は減少した。6 アイリング粘性を考慮して、せん断発熱による温度上昇の近似計算を行って、最小油膜厚さ測定値とDowson-Hamrockの式による理論値の比と温度上昇との関係を調べると、両者には高い相関が認められ、油温上昇を計算すれば歯面における最小油膜厚さを推定できることがわかった。
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