本研究の第一ステップは情報処理システムのモデル化であった。先ずトポロジー空間での節点(要素回路)と結線の集合を考え、従来経験則として知られてきたレンツの法則を解析的に導いた。次いで、トポロジー空間の(節点/結線)集合を物理空間に投影する様態について系統的な考察を行った。即ち、システムハードウエアを要素基板(タイル)の集合としてとらえ、タイルの各種集合形態を列挙したのちに整理し、これらのなかで積層形態がシステムの拡張を図るうえで最も適した形態であることを証明した。研究の第二ステップでは積層形態に焦点をあて、要素回路による演算、システム内のデータ転送時間、演算と転送に要するエネルギー、冷却、などの因子を同列に並べた解析モデルを組み立てた。この解析モデルのなかで、レンツの法則とこれに基づき推定する平均配線長さが、システムアーキテクチュアの特徴を反映させるようにした。研究の最終ステップではタイルの部分集合寸法とタイル間の冷却流路寸法の最適値を求めるアルゴリズムを作成した。これによれば、システム性能指標(演算速度と転送速度の重み付け和)を最大にする因子の組み合わせを求めることが出来る。また本モデルのなかで、狭いチャンネル内の熱伝達率が重要な役割を果たすことから、伝熱実験と解析を行い、熱伝達率関係式の確立に努めた。
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