研究概要 |
平成7年度の本研究の成果は以下のようにまとめられる。 (1)パワーグラスプが自由度の不十分な接触点によって拘束されるために生じる。この現象の力学的解析から,関節トルクを変化させて抗することのできる外力の集合を「許容外力空間」、関節トルクを変化させずに抗することのできる外力の集合を「限界外力空間」と定義し、これらの空間を一連の等式と不等式で表現した。 (2)「許容外力空間」および「限界外力空間」を凸解析法に基づいて効率的に計算する方法を開発した。これによれば凸錐の内部表現・外部表現の変換によって集合演算がおこなえ9次元の多面凸集合として、ロボットの指がだす力の空間がもとまる。先の二つの外力空間は9次元多面凸集合の6次元空間への線形写像として求めることができる。 (3)「限界外力空間」を実験に用いる3指9関節ハンドに計算させるアルゴリズムを開発し、インプリメントした。6次元空間の頂点の座標がワークステーションで約2秒で計算できた。6次元空間の凸包と体積の計算にはまだ効率的な一般的計算法が知られていない。このため、把時物体に注目点を設定し、その点に純粋力(モーメント零の力)が外力として加わる場合に、関節トルクを変化させずに耐えることのできる3次元外力の集合を計算することを提案しその計算法を確立した。 (4)実時間画像処理による視覚、力覚、関節角度センサを同時につかって反射的に物体の把握を行うシステムの構成論を研究し、それにもとづいた基礎実験を行い有効性を確認した。
|