研究概要 |
本研究により平成6年度に得られた具体的な研究成果を以下に示す。 1.対象とする3次元形状を模した入力装置に加えられた変形を計測し,コンピュータ内の幾何モデルを連動して変形させグラフィックス表示する,インタフェース・システム全体の設計を行った。 2.入力装置に加えられた大変形を電気的抵抗値の変化として計測するセンサとして,当初は導電性ウレタンフォームの使用を予定していた。しかし,長さと抵抗値の関係の安定性・再現性,ヒステリシスなどの特性について詳細な検討を加えた結果,大変形歪ゲージのほうが適しているという知見を得た。そこで,通常のウレタンフォームからなる立体表面に,複数の大変形歪ゲージをセンサとして配置し,各部に加えられた変形を電気的に計測できる3次元形状入力装置を考案,設計,製作した。 3.入力装置における多点計測データを高速A/D変換して実時間でコンピュータに取り込むため,現有設備である8チャンネル高速A/Dコンバータの前段に,多チャンネル化のための歪アンプ内蔵マルチプレクサを製作した。 4.計測回路により取り込んだデータを基に,3次元形状の変形を計算しリアルタイムでグラフィックス表示するソフトウェアを作成した。本研究のコンセプトの有効性を,ハードウェア性能上の問題と区別して評価するために,高性能グラフィックス・ワークステーションを導入した。この結果,入力装置に素手で曲げる,ねじる等の3次元的変形操作を加えることにより,コンピュータ内の幾何モデルを直観的に変形できるインタフェースが実現されることが確認された。来年度の計画としては,変形量のみでなく変形させる位置を直観的に指定可能にするために,入力装置に3次元空間磁気センサを取り込むことを考えている。
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