本研究では、放電加工もしくは電解加工において一列または複数列に配列された多数のピン状の電極の長さをリアルタイムで制御しながらxy方向にスキャンすることで、三次元形状を創成することを目的としている。 平成7年度までに、インチワ-ム方式による細線電極送り装置を試作し、その制御性の評価および試作装置による放電加工特性の評価を行った。 (1)試作1号機による基礎実験 大きさが数cm程度のインチワ-ム機構を製作し、電極ガイドと駆動源との幾何学的位置関係による制御性の限界を確認した。 (2)試作2号機によるワイヤ電極駆動試験 試作1号機による試験結果を踏まえ、ボールペンのキャップ程度の大きさのインチワ-ム機構を6台製作し、これらを放射状に配列してドットマトリクス方式の放電加工ユニットを製作した。それぞれのインチワ-ム機構は1列に穴のあいた電極ガイドに拘束された6本の細線電極の位置を独立に制御可能なことを確認した。 (3)試作2号機による放電加工実験 上記2号機を既設の放電加工機に取り付け、放電パルス電源を接続して放電加工を行った。鋼の表面に対して大きさ5mmの文字をプリンタで印字するように加工した。 高精度な加工を行うためには、各ワイヤを最適な距離に配置すること、電極全体に揺動運動を付与する必要があることが明らかになった。 (4)電極位置決め装置を用いた電極消耗の補償 電極先端は通常の細穴放電加工と同様に消耗しやすい。したがって電極位置決め装置が必要となる。そこで、ステッピングモータと楕円カムを用いて位置決め装置を製作した。1カ所で加工するごとに電極先端長さを調節し、電極消耗量を補償することで3次元形状の創成が可能となった。
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